カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、Customer Experienceの略で、日本語では「顧客体験」や「顧客体験価値」と呼ばれます。
製品やサービスを購入した時に感じる金銭や物質的な満足感だけではなく、ユーザーと企業のあらゆる接点において感情的に満足を生み出し、良い体験・経験を与える経験価値を指す言葉です。
製品やサービスの提供を受けたときに感じる心理的・感覚的な価値が、SNSが台頭している現代において、企業のブランディングや長期的なファン化、信頼や愛着を生み出し収益向上を図る施策として欠かせないものとなっています。

カスタマーエクスペリエンス(CX)が必要とされる背景とは?

どのような市場でも同様の製品・サービスが多く存在し、激しい価格競争の中から消費者に選ばれる時代となりました。店舗で実物を確認しECサイトで購入する、スペックをWebサイトで比較して自分に最適な製品を選定するなど、企業からすると購入プロセスはより複雑になり、ユーザーからすると実店舗に出向かなくても容易にリサーチすることができるようになりました。

ユーザーは機能や特徴に差異が感じられなくなり、その価値を見い出せなくなりました。企業も同様に製品・サービスそのもので差別化を図り市場で戦うことが難しくなりました。
またユーザーの50%は、1回嫌な思いをしたら、購入先を競合他社に切り替えると言われています。さらに、2回以上嫌な思いをした場合には、この割合は80%にまで上がると言われています。
そこで、企業が優位性を確立するために、ユーザーに与える価値が重要になってきました。
店舗で提供する雰囲気やキャンペーン、製品やサービス購入後のサポートなどありとあらゆるユーザーとの接点で得られる経験に価値を付与することが大切なのです。

また、2006年にフィリップ・コトラーが発表した「マーケティング・マネジメント」の中では、「顧客満足度、ロイヤリティ、顧客収益性といった指標が企業の収益に重大な影響を与える」と記載されています。これ以降、企業の収益向上を図るためにもカスタマーエクスペリエンスは欠かせないものになるという発想が生まれました。

カスタマーエクスペリエンス(CX)向上のメリット

カスタマーエクスペリエンス(CX)向上のメリット

激化した市場を生き抜くためには、競合他社と差別化を図りカスタマーエクスペリエンスを向上させる必要があります。
企業がカスタマーエクスペリエンスを提供することでもたらされるメリットは主に6つです。これらをマーケティングの観点から詳しく説明します。

  1. 顧客満足度が向上する
  2. エンゲージメントが高まり、リピーターを獲得できる
  3. 競合他社との差別化を図ることができる
  4. ブランドイメージが向上する
  5. ユーザーの口コミによる宣伝効果が期待できる
  6. 安定した売上を確保できる

1.顧客満足度が向上する

製品やサービスを購入する際、店内に心地よい音楽が流れていて雰囲気が良かったり、店員が親切かつわかりやすい説明をしてくれたりと、ユーザーの期待以上のカスタマーエクスペリエンスが提供できた場合、顧客満足度が向上します。

近年ではリアルだけでなくデジタルも含めた双方でのコミュニケーションを充実させる必要があります。また、製品やサービスだけにとどまらず、イベントなどの体験もカスタマーエクスペリエンスに大きく影響します。

2.エンゲージメントが高まり、リピーターを獲得できる

最良のカスタマーエクスペリエンスを提供できれば、ユーザーに「もう一度この場所に来たい」「このサービスを使いたい」「この商品でなきゃダメ」という感情が生まれます。ユーザーのこの感情は再来店や再購入につながりリピーターとなってくれます。さらに、既存ユーザーとの良好な関係を維持し続けることで顧客生涯価値(LTV)を高めることもできます。

3.競合他社との差別化を図ることができる

市場が成熟すると製品やサービスの内容は同質化し、その物自体で差別化を図ることが難しくなります。どんなに良い製品を作っても価格競争に発展しがちです。そこで付加価値としてカスタマーエクスペリエンスの向上に努めると競合他社との差別化を図ることができます。
有名な事例ですが、スターバックスの取り組みを紹介します。スターバックスは普通のコーヒーショップの枠を超えたサービスを提供することで、他社との差別化を図りました。無料のWifi、ホスピタリティの高いスタッフ、自分の好みにカスタマイズできる美味しいコーヒーが飲める居心地の良い場所(サードプレイスとスターバックスは呼んでいます)を提供することでカスタマーエクスペリエンスを向上させています。このようなスターバックスでしか体験できない価値を提供することで、不動の人気を築いています。

4.ブランドイメージが向上する

カスタマーエクスペリエンスはブランドイメージの向上にも寄与します。ユーザーとの接点はオンライン・オフラインといった場所だけでなく購入前から利用時、そして購入後と様々なフェーズでがあります。その様々なフェーズでその時々のユーザーフェーズに沿ったカスタマーエクスペリエンスを提供することで、良い印象や愛着を持ってもらうことができます。ブランドイメージが向上することで、ファンを生み出すことができます。

5.ユーザーの口コミによる宣伝効果が期待できる

エンゲージメントの高いユーザーによるSNSでの発信や、口コミの投稿による製品やサービスの評価はどんな広告よりも効果を発揮します。製品やサービスの利用者からのポジティブな情報発信は、潜在顧客の心を揺さぶり購入意欲を高め、新規ユーザーの獲得に貢献してくれることでしょう。
また、ユーザーが自発的に行動してくれるため、広告費用の削減にもつながります。

6.安定した売上を確保できる

良質なカスタマーエクスペリエンスを提供することでユーザーがファン化するとリピーターが増え、乗り換えが減少し売上向上につながります。また、前項で記述したとおりユーザーが自発的に宣伝をしてくれるため、集客コストの削減にもつながり、安定した売上を維持できます。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の成功事例

カスタマーエクスペリエンス(CX)の成功事例

では、どのようにしたら良質なカスタマーエクスペリエンスを提供することができるのでしょうか?ここからは有名企業の成功事例をご紹介していきます。

スターバックス

前項でも少し触れていますが、スターバックスは常に顧客の声を聞きカスタマーエクスペリエンスの向上に努めています。
スターバックスでは多くのユーザーからアプリで注文と決済を完結したいという声を聞き入れ、アプリにオーダーから支払いまで完結に決済できるMobile Order & Payを追加しました。これはレジに並ばずお店で商品の受け取りができ、カスタマイズオーダーにも対応してくれます。アプリだけでなく、Webサイトからもオーダーが可能です。アプリやWebで容易にオーダーできることからカスタマーエクスペリエンスを高めることに成功しました。また、アプリにはSTARBUCKS REWARDSという54円あたりStarが1つ集めることでドリンクやフードと交換できるプログラムもあり、アプリ活用の促進とエンゲージメントの向上に一役買っています。

ユニクロ

ユニクロも様々な試みでカスタマーエクスペリエンスの向上に努めています。
AIチャットボットが買い物のアシスタントとして接客をしてくれるUNIQLO IQというLINEアプリをご紹介します。UNIQLO IQは、まるで実店舗の店員さながらおすすめコーディネートの提案をくれたり、各店舗の在庫状況を教えてくれたりするとても親近感が湧くアプリです。チャットで質問を選択することで様々な提案を瞬時に回答してくれます。ユーザーの求めるものを瞬時に提供しカスタマーエクスペリエンスを向上させています。

Webサイトで洋服を買うとき、サイズが分からず購入をためらってしまうことがありますよね。ユニクロはそんなユーザーの声に応えMYSIZE ASSISTというサービスを提供しています。身長と体重を入力すると、似た体型の人が購入したサイズを提案してくれます。返品や交換の手間もなくなり、ユーザーの購入時の不安も払拭してくれます。
また、Webサイトではセミオーダーのスーツやワイシャツも提供しており、ユーザー自身で採寸したデータを入力すればオーダーが完了します。もちろん店舗での採寸も可能です。

スターバックスとユニクロのどちらの事例もユーザーのニーズを深く分析し、ユーザーの課題を解決していることが優れている点となります。

まとめ

優れたカスタマーエクスペリエンスの向上には顧客視点を持ち取り組むことが重要となります。
常にユーザーの求めているものを探索し、製品やサービス自体の価値に加えカスタマーエクスペリエンスを向上させて、競合他社との差別化を図りユーザーに選ばれる存在になりましょう。

GENIEE CV NAV1 編集部

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